シラバスについて

◆シラバスが高等学校現場に定着して既にかなりの年数が経過していますが,その多くが当該科目の年間指導計画・評価計画を提示することを第一義にしていて,冊子にして年度当初に配布して,個別の授業ごとに解説する形が一般的であり,その後の実際の授業場面で活用することは少ないように思っています。シラバスの作成・配布までが目的化してしまっている印象すらあります。

◆授業の一つ一つを,構造的・系統的なものにしていくには,教員も生徒も,年間の全体像だけでなく,単元程度のまとまりごとに,学ぶ内容,学び方,定着の仕方などの理解・イメージをしっかり持って授業に臨むことが大事になると思っています。

◆〔授業改善方針〕の〔授業改善サイクルの「見える化」について〕のところで説明していますが,授業改善のP・D・C・Aが機能するには,P〔授業のプランニング〕にあたるシラバスづくりの水準の高さが基本となります。

◆広島県においては,以前は多くの高等学校がホームページにシラバスを掲載していましたが,今はあまり見かけないようになりました。ホームページへの掲載は,「開かれた学校」「説明責任を果たす」意義がありますが,作成・掲載業務自体の労力の大きさも関りがあるように思いますが,授業の水準向上を図る意義からシラバスづくりは重要だと思っていて,ホームページへの掲載が少ないことは,その意味からも懸念される状況ではなかろうかと感じています。

◆府中高校では,年間シラバスと詳細シラバスの二本柱にしていて,ホームページには年間シラバスを掲載しています。詳細シラバスは,さすがに分量・手間が大きくなるというのが理由です。

 

《令和4年度入学生からのシラバス》について

◆新学習指導要領の全面実施に伴い,令和4年度入学生から観点別評価等の指導要録への記録が必要になります。高校現場では,授業の在り方・成績評定の在り方に大きな影響が出ることと思っています。

◆このページで扱っていますシラバスについても,考え方・様式などの変化対応が求められてことから,私案的に,架空のP県立Q高校を例にサンプル様式などを作成してみました。参考になれば幸いです。

◎ この資料は,終わりのところにダウンロードボタンがあります。

 

◆架空のP県立Q高校の成績評価・シラバスなどの設定(サンプル例)

⇒ ここで扱っています「評価資料」と観点別評価との関連性などにつきましては,〔◇カリ・マネ>★授業の組み立て方>評価資料の実際例〕のところに一覧表として整理しております。

《参考》P県立Q高校の概要・評価基本表について

ダウンロード
上のエクセルファイルは,このボタンからダウンロードできます。
P県立Q高校シラバス様式例などDL用.xlsx
Microsoft Excel 32.7 KB

府中高校におけるシラバスづくりについて

◆府中高校において,授業水準を高める観点から当初から取り組んだことの一つが,このシラバスづくりでした。H26年度のスタートからの機能化を目指して,25年度の1月の段階で,シラバスについての「基本的な考え方」を教員に提示しています。

◆この時の方針の大きな特徴は,生徒に年度当初に示すもの(年間シラバス)と考査期間ごと・単元ごとに示すもの(詳細シラバス)との二本柱で組み立てているところです。教科・科目の特性もあり,教員もこうした方式になれていない面もあり,詳細シラバスの形態・様式等は教科ごとで良いことにしていました。

 

年間シラバスの基本的な様式

◆年間シラバスは,基本的に必要な要素に加えて,実際の評価の割合(ウエイト)を教科・科目ごとに明記し公表ていることは,意義があり,実際にこれが基準であり,様々な場面での説明根拠にもなっています。

 

詳細シラバスの基本的な様式

◆詳細シラバスは,当初,教科・科目の特性を活かす観点から,様式的なものは(サンプル例的なものは示していましたが)明確に提示してはいませんでした。しかしながら,教科によって水準差が大きいことや,生徒から見て受けとめにくいことなどを考慮して,H28年度頃から一定程度の水準になるように目安としての様式を定めました。教科によっては,特性や経緯があって,この様式と同等以上の水準があれば,それを詳細シラバスとすることもOKになっています。

◆定期考査における活用問題の概略的なことを,授業の事前から詳細シラバスに明記して伝えておくのも,一つの手法だと思っています。