学校における働き方改革の基本的な考え方について

 〔1〕《働き方改革の基本的な考え方》

 〔2〕《働き方改革推進の要素》

 〔3〕《働き方改革の基本フレーム》

 

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〔1〕《働き方改革の基本的な考え方》

◆働き方改革の動きが顕著になる少し前から,府中高校においては,業務改善の推進にかなりのエネルギーを注いできていました。背景には,村上の「学校経営は,組織マネジメントとカリキュラム・マネジメントを一体的に進める」という経営方針がありました。組織を整え,組織マネジメントを進めることが,教員の力量の発揮につながり,生徒への教育指導の効果が高まるという考え方です。組織的にも,指導的にも,教員が「良い判断を,速くできるようになる」ことで,学校が機能的に動き,生徒への学習指導・生徒指導の機能性・効果性が高まるとの考え方です。

 

◆学校現場の教育を担う教員は,概括的に捉えれば,どの教科やどのポジションに就いていても,大多数の教員の勤務時間も給料も大きな違いはないと言える範囲にいると思います。給料は,年齢による差異以外は,業績評価による個人評価の反映と手当類等での相違ですが,多くの教員は,そのことに大きな関心は持っていないように感じています。学校現場の教員には,教科の教員免許に基づく採用であることを前提としたある種の「平等性」の意識があり,組織論もそのことを前提にしたある種の「擬制的な要素」が働いていると思っています。

 

◆学校現場の教員の働き方の論議の前提になるのが,「教育に直接に関わることへのやりがい」について,どのように捉えるかも大事な論議視点だと思います。眼前の人の成長に直接関わることから,自分の営みが普遍的で次元の高い価値の創造と繋がっている!(或いは,繋がっているはずだ!)との思いが自分の原点だと捉えている教員が大多数だと思っています。と同時に,このことは,ややもすると,自己犠牲的な営みに陥ったり,生徒との関わり以外の家庭人・社会人としての在り方のバランスまでを崩してしまうことにまでなることがあります。

 

◆学校現場では,教材研究の実際の仕方,実務書類の作成の仕方,生徒面談指導の実際の仕方,部活動指導の実際の仕方,会計処理の仕方などについて,誰かが時間を充分に掛けてまで他の教員に教えるとか,相互に時間を掛けてまで研修し合うことなどを行っている訳ではありません。初任者には一定の研修は行っていてそれなりに多岐になっていますが,理念的なこと,制度的なことなど,初歩的な研修の範囲までで終始していると思っています。

 

◆授業の準備の仕方,授業のノウハウ,学級経営のノウハウなどの獲得は,原則的に,自分で工夫したり改善したりする試行錯誤的な営みの継続的な積み重ねによるものですが,基本的に全員が採用試験に受かっている教員免許保持者であり,教科の専門性を前提とした指導ができるはずであるとの「優秀性」や「平等性」を前提にしているので,教員どうしが積極的に相互に指摘し合ったり,助言し合ったりする風土には,なりにくいと思っています。教員としての尊厳(のようなもの)を尊重し合う風土が,高校現場には強いと感じています。

 

◆こうした学校現場や教員の在り方・状況を踏まえて,私見的に,令和5年度段階での「働き方改革の基本的な考え方」をまとめてみました。 

 

〔2〕《働き方改革推進の要素》

◆学校の組織や活動は,全て密接に繋がっていることの理解・把握が根幹的に必要なことで,働き方改革についても,「組織マネジメントの要素」と「カリキュラム・マネジメントの要素」がどのように連関しているかを整理してみることは大事なことだと思っています。

◆次の図は,働き方改革の推進に関わりのある要素に,どんなことがあるかを整理してみたものです。

 

〔3〕《働き方改革の基本フレーム》

◆働き方改革について理解したり推進していくには,どのように全体像を捉えておくかは重要なこと必須のことだと思っています。

◆働き方改革に推進について,「学校組織全体」の要素・内容と,その組織を構成する教員などの「個人」が取り組むべき要素・内容が相互に連関し合っている構図を理解しておくことが,とても大事なことです。

◆次の図は,働き方改革の推進に関わりの強いものの中で,「基本フレーム」として捉えておくと良いものについて,整理して図にしてみたものです。(050617改訂版)

 

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