《講演⑥》『ルーブリック評価について』

〔学校法人 穴吹学園教職員研修(広島)〕

(1)研修会

  ◎ 日時:令和2年9月17日(木)13:30~16:30

  ◎ 会場:穴吹デザイン専門学校(広島市)

  ◎ 参加者:穴吹学園教職員19名

  ◎ コロナウイルス感染対策として,全員マスク着用・手指消毒・定期的な換気・座席指定

(2)研修会の概要

◆ 穴吹学園は様々な領域のカレッジ・専門学校を数多く有しておられて,専門領域の相違や校舎ごとの経緯もあって,実技・実習に関する評価について,領域・校舎を越えての全体的な論理性・整合性を高めたいとの考えから,パフォーマンス課題の評価に適したルーブリック評価の穴吹学園版の開発を進めておられます。 

◆ 前回までの高松・福山に続いての実施となりました今回は,参加者が全員デザイン系の方々でしたので,演習課題を新たなものも加えて組み替えて実施し,教員採用試験に関するものは紹介に留めさせていただきました。また,講座・授業の年間計画と評価の統括整理表も説明させていただきました。

 ◎ルーブリック評価の理解・・・概念整理を深めるために,ルーブリック評価の定義・形態・

                評価項目と評価尺度,実際事例等の紹介

 ◎演習〔1〕・・・高校の文化祭の模擬店に出す「ケーキセット」の評価表の作成

 ◎演習〔2〕・・・高校の美術部員に提示する目覚まし時計の評価表の考え方

 ◎演習〔3〕・・・高校の美術部員に課した東洋と西洋の彫刻の美についての作成文章の

          評価表の作成

 この4つの内容について段階的に進め,演習とグループ協議を通して理解が深まることを企図して組み立てました。

◆ 演習題については,グループ協議を踏まえて,その協議内容を全グループから複数回発表していただき,お互いの協議内容・視点等を共有することができました。グループ活動・協議では,ルーブリック的な視点が既に前提になっていたり,協議水準自体が高く視点が整理されていたりしていて,普段からの連携状況を感じることができました。

◆ 途中の場面でも複数の質問をいただき,それへの説明を通して,ルーブリック評価の実際的な活用についてのイメージを深めていただけたとのではないかと思いました。

〔質問例〕

◎ 文科省の算数のルーブリック事例は,実際の小学校でどのように使われているのか?

   また,小学生にどこまで提示しているのだろうか?

◎ 高校の定期考査のルーブリック表に記述のない箇所があるが,意味はどこにあるのか?

◆ また,個人段階でのルーブリックの作成途中に何人もの方と意見交換させていただきましたが,早い段階で作成されておられたり,考え方が明確であったり,授業との関連付けを意識されておられたりして,真摯に向き合っておられる姿が印象的でした。

◆ 演習〔2〕については,村上がイメージしていたよりも視点・発想が多岐に亘っていて,流石にデザイン系の方々だとの印象を強く持ちました。演習〔3〕については,視点・発想の専門性が強く反映されるあまり,高校生の部活動の設定水準を越えての求め方になったグループもあり,ルーブリック評価を用いる時のベースになる水準設定の在り方の論議を深めることができました。

(3)感想

◆ 参加者全員の方々が,熱心に演習題について取り組まれ,全てのグループで真摯な協議がなされていたのが印象的でした。また,複数の方が,既にご自身の授業でルーブリック評価の視点を取り入れられていることも分かり,ルーブリック評価への流れが既にできつつあると感じました。

◆ 更には,パフォーマンス課題のルーブリック評価だけでなく,年間の授業計画の全体像の在り方との連動性を意識されておられたり,既に試みている方もおられるように受けとめました。広島校として,次に繋がる可能性の大きさを感じた次第です。

 

〔研修会の様子〕

〔使用パワポ〕⇒〔Ⅱ〕の演習の素材・構成が高松・福山での内容と異なります。