主任の役割と機能化について

◆広島県の県立高校にとって主任の役割の明確化とその機能化というテーマは,まさに,学校における組織マネジメントに関する長年の懸案事項の中でも重要なテーマの一つでした。校長権限の確立を基軸とする是正指導による組織マネジメント上の課題の中でも,主任命課の形式的な整えでさえ多くの労力を要し,ましてや,その機能化となると課題山積でしたし,現在においても,各校の主任が機能的に主任として活躍しているとは言い難い現状があると捉えています。

◆是正指導の節目となった平成10年から見ると,20年以上が経過していながら,また,関係者が多くの努力を傾注しながらも充分に機能しているとは言い難い現状となっている背景に何があるのでしょうか・・。

 

◆村上は,大きく捉えて二つの要因が働いていると思っています。一つは,ロールモデルの乏しさに関するものであり,いま一つは,職責上の曖昧さ(便宜的な位置付け)に関するものです。

◆ロールモデルの乏しさについては,是正指導以前,主任制そのものを否定する論理が多くの県立学校で実態化していた状況があった中で,例えば現在の50歳代前後の教員が就職した頃の多くの県立学校では主任は成り手も少なく,仕事の仕方も整理すらされていなくて,まさに否定されるようなところまでの役割・存在でした。是正指導後,その世代の教員が20歳代から40歳代にかけて一緒に仕事をしてきた主任の多くは,組織マネジメント上の指導・助言者というよりも,同僚・仲間としての取りまとめ役,会議の司会者という範疇であり,ロールモデルとするには程遠く,また,そうした主任像が受け入れられていた実情もあると思っています。

◆県立高校における主任の職責上の曖昧さ(便宜的な位置付け)については,更に二つの面から捉える必要があると思っています。一つは,規則上の位置付け方の難しさの面,いま一つは,学校現場実態上の位置付け方の難しさの面からの視点です。

◆規則上の曖昧さとしては,現在の「広島県立高等学校等管理規則」第15条においては,「学校に、教務主任、学年主任、生徒指導主事、進路指導主事及び保健主事を置く。」となっており,総務主任,教科主任等をおいている学校があるのは,同15条の4に「校長は、(中略)必要があるときは、学校に、校務を分担する主任等を置くことができる。」とあるのを根拠としています。この複雑さは,省令主任のもともとの位置付け方からきている面と,学校規模等を考慮した面との両面からではないかと考えることができます。更に学校によっては,教育研究主任,生徒会指導主任等を便宜的に置いているところもあります。県立学校にとって,学校によって主任の位置付け方がかなり異なることから,人事異動も含めて,主任の職責の明確さと機能化が曖昧になりやすいと考えられます。

 

◆学校現場実態から生じる主任の職責の明確さと機能化が曖昧になりやすい背景理由には,教科指導を本務と捉える教員にとって,教科指導・担任業務以外の校務分掌の業務については第一義的な本務とは捉えず,校務の役割分担上便宜的にある部署に所属しているだけだという捉え方があると思っています。どの部署も一定数の複数配置であり,自分自身が業務のどの範囲まで,どの程度まで,担えば良いかの見極め自体が曖昧さを伴っていると思っています。

◆次のサンプル資料は,府中高校に関わっていた時に,組織マネジメントを機能させるべく,毎年度少しずつ表現を整えながら教職員に提示していたものについて,字体等を少し整えてサンプル資料としたものです。 

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◆主任の職責としての「連絡調整,指導・助言」の分かり易い概念用語も,いざ実際の場面で,誰と,何を,どのようにして,行うことなのかを明定・実行しようとすると簡単とは言えません。また,主任自身も「報・連・相」の大事さは分かっていても,特に管理職に対して,何を,いつ,いかなる方法で「報・連・相」するかは,迷うことがしばしばだと思います。

◆このペーパーでは,主任の業務を従前の一般的なものから踏み込んで具体的な表記によって「見える化」しています。また,視点整理も細かく付言していて,主任像の一端を示しています。

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