活用問題の経緯について

府中高校において,村上が関わって活用問題を実施するに至った経緯についてまとめておきます。

 

◆ 第1段階
◇ 府中高校が,学校全体として考査問題に活用問題を取り入れるようになったのは,村上が赴任したH25年度の当初からです。5月の連休明けの段階で,《考査問題における活用問題について》として,『基礎的・基本的な知識・技能に関する問題だけでなく,生徒に「考える力」「論理的に表現する力」「課題解決に向き合う力」などの力をつけることができるような〔活用問題〕を1割以上入れる。』ことを教員に求めています。当時は,主として,知識・技能の力を確認する問題の割合が高くて,「思考力・判断力・表現力」について考査問題で焦点化して扱うことは,組織的には行われていませんでした。教員も実際にどんな問題にしたらよいか戸惑っていたので,初歩的なサンプル問題を提示したり,一定の記述解答を求める問題は活用問題として扱ってよいとしたりしていました。


◇ 赴任一年目の最初の中間考査の段階から考査を実施する全教科・全科目で実施することができましたし,一学期末考査においては,全科目について一定の結果分析も行っています。当時の府中高校の教員の対応力の高さには,しっかりしたものがあったように覚えています。

 

◆ 第2段階
◇ 「学びの変革」の推進として,「ICEモデル」を活かした生徒の自己評価力を高める取組を進める一環として行っていた,複数の種類の「振り返りシート」に基づく自己評価の取組が生徒に定着しつつある段階となり,定期考査の活用問題においても,一層の工夫・改善を図る観点から生徒の自己評価力の向上に資する取組を行うこととしました。


◇ 定期考査の活用問題自体に,ルーブリック評価の仕組を取り入れることとし,生徒には考査問題において,ルーブリック評価項目と基準を提示しておいて,その評価基準に基づいて評価(採点)・返却することにより,生徒の自己評価力の向上が期待できると考え,平成28年度の二学期の期末考査で一部の科目で試行してみた上で,1・2年生の三学期の考査において実施する全科目の活用問題でルーブリック評価を試みました。

 

◇ 活用問題の作成,ルーブリック評価表の作成,問題の水準や問題量の見極め,ルーブリックに基づく採点や分析など,それぞれにおいて試行的な面や課題はありましたが,全体としては,生徒の「思考力・判断力・表現力の向上」に資するものとなっていきました。

 

◆第3段階
◇ 考査問題における活用問題の導入当初からの割合は,「1割程度以上」としていましたが,課題解決的な思考力・判断力を高め,表現力を磨く機会を増やす観点から,平成29年度のスタート時点で,《授業・定期考査等における基本的な領域バランス》として,【 I 】主に知識(理解)・技能の領域 ⇒ 4割±1割程度  【 C 】主に思考・判断・表現の領域 ⇒ 4割±1割程度  【 E 】主に活用・応用の領域 ⇒ 2割~3割程度 とすることを教員に提示しています。 ⇒ 参照《〔★授業改善の考え方・具体〕の『授業改善関連資料(Ⅱ)』の 〔11〕「授業水準向上方策①」(H29段階①)〔12〕「授業水準向上方策②」(H29段階②)》

 

◇ この領域バランスは,教科・科目の特性等を踏まえると,それほど厳密に機能さすべきものではなく,授業・考査の中に【I・C・E】モデルの視点を入れ込むことの大事さを示しているものです。ですが,考査問題においては,教員はかなり意識して取り組んでいて,「活用・応用の領域」は増えたように感じています。