〔ICEモデル〕について

◆広島県でICEモデルに基づく取組が広がったのは,「学びの変革」の推進を図る中で,当時の下崎教育長が,〔「主体的学び」につなげる評価と学習方法 カナダで実践されるICEモデル〕(東信堂)という本を紹介され,「コンピテンシーの育成を目指した主体的な学び」の推進を提唱されたことによると思っています。

◆府中高校においては,平成26年の秋に校内研修会を持って,村上が「能動的な学びを導く授業の創造に向けて」と題する講義を行い,近藤秀俊教務主任が「本校におけるICEモデルの活用について」と題して説明を行うとともに全員でルーブリックの具体例を作成する演習を行ったのがスタートでした。当時は,教員全体で見ると,ICEモデルやルーブリックについての受けとめや理解は初めて接する人がほとんどで,おぼつかなかったように覚えています。

◆その前後から,ICEモデルに基づく,学びに関する動詞に着目した学びの段階的な深まりの捉え方,ルーブリック的な評価の仕方などについて,個人や教科で授業に生かしたり,振り返りや評価に生かすなどの動きに繋がって行きました。

 

◆広島県教育委員会から府中高校が,平成27年度から三年間「探究コアスクール」の指定を受け,推進役の中核教員に谷田美尾教諭が就いてからは,他の教諭も論議にまじえながらも,主に谷田教諭と村上が論議して,次に示している〔府中高校における 学習・説明・発表などの〔学び〕に関する「動詞」の整理表〕や〔府中高校における〔学び〕に関する「動詞」に基づく〔学びの評価表(基本形)〕〕を作成し,教員への説明・浸透を図りながら,全ての教室に掲示するとともに生徒全員に担任が説明する場面を設けたり,〔学びの振り返りシート〕に生かしたり,考査の活用問題のルーブリック評価に生かしたりして,定着・活用を図りました。 

〔ICEモデル〕に基づく動詞の整理表(府中高校版)

◆このICEモデルに基づく動詞の整理表の特長は,ICEの段階ごとに関わりのより深い動詞を整理するだけでなく,ルーブリック的に,項目立てを「学びの動詞〔思考・判断〕」と「表現(例)」との二本柱にしたところにあると思っています。この柱立てで,学びにおいて大事な〔思考・判断・表現〕を生徒に意識させることができると考えました。

◆さらに,小さな手配ですが,タイトルに「府中高校」,「学習・説明・発表などの〔学び〕」という言葉を入れています。府中高生のための整理表であり,学びの場面は教科学習だけではないことを一人でも二人でも多くの生徒に伝えたいとの思いからです。 

 

〔ICEモデル〕の動詞に基づく学びの評価表(府中高校版)

◆この評価表は,探究コアスクールの指定を受けて,研究・実践活動を進めて行けば必ず取組の成果を明らかにしたり,その成果の根拠を明示したりすることになるのを想定して,学びの動詞の整理表を作成するのと,ほぼ重ねて谷田教諭と論議しながら,谷田教諭がまとめたものです。

◆最大の工夫点は,ICEモデルに基づく動詞の使い方の水準の評価表ではなく,ICE概念を少しだけ拡げて,縦軸にICEではなく「府中高生としての学びの水準」を配置したことと,横軸の大枠にに「知識・技能,思考力・判断力」と「表現力・説明力」とを配置したことにあります。そしてさらに,「知識・技能,思考力・判断力」の項目を,「教科・科目の学習内容」だけでなく,〔総合的な学びのストーリー〕で位置づけた「学び方,学びの仕組み」を評価項目として位置づけて両者の関りを明確にするとともに,人としての在り方・生き方を考えることに繋がる「自己の在り方,他者や社会との関り」について考えを深められるようにしました。

◆この作成過程では,谷田教諭としばしば〔省察〕論議を行い,その論議内容が別項目で扱っている〔学びの振り返りシート〕に繋がったり,〔課題設定力〕の論議が,質問設定力論議に繋がったりしました。

◆こちらも小さい手配ですが,タイトルに「学びの評価表(基本形)」と入れています。これは,生徒も教員も〔学びの評価〕を窮屈に捉えることなく,教科・科目の違いや場面の違いなどを前提にしながら,些末的なことよりも,より基本的なことや原理的なことを大事にして,それを柔軟に応用することを大事にしてもらいたいとの願いを含めたものです。

 

新カリの全面実施を踏まえて,あらたに【育てたい資質・能力と《学びの評価基本表》】を試案的に作成して,〔◇カリ・マネ>★《資質・能力の勉強会》>〔参考④〕学びの評価基本表〕のところに掲載しています。架空のP県立Q高校の設定にして,マスタールーブリックの考え方整理と観点別評価にも援用できる要素も考慮したものです。ご覧いただければ幸いです。

  ⇒ ★《資質・能力の勉強会》>〔参考④〕学びの評価基本表