授業時数確保と時間割編成の考え方について

◆カリキュラム・マネジメントに関して,高校現場における適切な授業時数の確保と,同じ科目で授業クラス間での授業時数の平準化の達成は,かなりの難問だと思っています。時間割編成には次のような困難性がある中で,限られた時間の中で編成し実施することが求められます。

 ○ 授業日数・総時間数の確保 :: 行事の精選・曜日の偏りの難しさ

 ○ 時間割編成 :: 労力の大きさ・制約条件の多様さ・担当者の固定化による難しさ

   ⇒ 臨時時間割・時間割変更の機能化の困難性

 

◆村上の印象として,本県の県立高校の教務部は実務処理的な業務を主として担う感覚が根強く(成績処理等にミスを出さない対応などを優先することも背景にあります),学校全体として教育課程全体の適切な編成・実施や教科枠を超える動きを企画・調整するなどのマネジメントやデザイン的な要素への関わり意識は少ないように感じています。

◆科目全体の適切な授業時数確保についても,科目内のクラス授業時数の平準化にしても,明確な方針を学校・教務部としてルール・考え方として「見える化」して,それを実践的に機能させている学校は少なく,日常的に目の前の案件を処理することに追われる形になっているのではないかと思っています。

◆村上が関わっていた府中高校においても,教務主任等とこの論議を重ねてきていましたが,まとまった整理にまでは至らずに村上が退職しましたので,今回,整理してみました。⇒ この「授業時数確保と時間割編成の考え方について」を整理した後に,新学習指導要領の内容の定着の在り方などを考える中で,定期考査の発展的解消について考えるようになり,整理ペーパーを作成していますので,併せてご覧いただければ幸いです。⇒ 〔★カリ・マネの実際 > 定期考査の発展的解消〕 

 

 

◆この図のように整理するための大事な論点・手順は,次のとおりだと思っています。

 ① 前年の10月までに,基本要素が入った「授業展開編成表」を作成しておく

 ② 年度全体の授業日・授業時間の見込みを正確に立てる

 ③ 時間割編成の考え方・方針・ルールの類を「見える化」して全体提示しておく

 ④ 各考査までの授業時数を科目・授業クラスごとに当該授業者が見込みを立てる

  ⇒ 教務が全体集約・管理を行う(臨時時間割・時間割変更で調整)

 ⑤ 考査時点ごとに授業クラスごとに時数を把握し,分析・対応を明確にする

  ⇒ 次の考査までの期間と年間の時数の見込みを当該授業者が立てる

 ※ 当該授業者が,自分の授業時間数が読み込めるだけの資料を教務部は提供する

 

時間割編成・実施の方針(サンプル例)です

◆村上がサンプル的に作ってみました。時間割変更の考え方,非常勤講師への考え方など,現状からは越えている面があるかと思いますが,バランスの取れた授業時数確保,合理的な平準化を優先しようとすると,従来的な考え方を越えていく必要もあると感じています。

 

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