学校経営計画について

◆学校経営計画は,学校経営の全体の中で時期を限って(中期的には3年程度,短期的には当該年度)重点的に取り組む教育活動等について,実現したい目標を設定し,その実現のための手立てや行動計画を整理して,公表することにより学校経営の基本軸にするものです。

◆学校経営計画の公表は,同時に,その目標の達成度や手立て等の適切さについて,評価・検証する仕組みと連動することで,開かれた学校としての経営のPDCAサイクルを担保することになります。

◆学校経営計画の取組内容の評価・検証は,第一段階としての自己評価とその自己評価を外部の評価者から評価を受け,それぞれを公表することで意義が高まります。 

◆とは言え,学校現場で聞かれる声として,目指す姿としての数値目標の設定の仕方の難しさありがあり,更には,その目標数値を特定の部署や個人の取組に焦点化してしまい,個人の目標として業績評価(自己申告)書に落とし込むことを求められる事例があるということがあります。数値目標実現に関わりの深い牽引部署の組織目標として位置づけることは,手立て等と併せて整えれば一定の大きな意義があり得ると考えられますが,学校としての大きな数値目標の達成を特定の個人の取組の責に帰するようなことは慎重に吟味すべきことと思っています。

◆こうしたことの背景には,学校によっては,学校経営目標と教育目標の位置関係が未整理のまま混同されている状況になっている可能性があるのではないかと推測されます。学校経営目標は,学校の組織的(組織分担やシステム,教職員の営みの結集)な目標を経営的視点から位置づけるものであり,教育目標は,生徒にどのような力をどの程度まで付けるかということを軸に,実現したい姿として教育的な目標を設定するものだと思っています。

 

 

⇒ 「三つのポリシー」などを前提とした令和5年度の学校経営計画のサンプル事例は,

〔◇自主研究会〕>★P県立Q高校〕にQ高校設定の事例として掲載しています。

学校評価について

◆学校経営計画については,学校としての目標を掲げて,その目標達成に向けて努力を継続することの意義は大きいと思っています。また,中間評価,年度末評価に際して自己評価を行い,それをもとに学校関係者評価委員の方々からのご意見も受けて,結果を公表する意義も大きいものがある思っています。
◆村上が関わっていた府中高校においても,部署の業務の進捗度や取組,生徒の教育活動等の満足度調査結果などを踏まえて,中間評価,年度末評価を実施し,学校関係者評価委員会からの評価を受けて学校のホームページにもその結果を掲載していました。幸いにも府中高校は,生徒の努力,教職員の尽力,関係者のご支援等が良い形で噛み合って,高い水準の評価になっていました。

◆同時に,学校経営や教育目標の数値の判断根拠となる各種のデータ・アンケート結果の中に含まれる「デリケートさ」が気になっていました。卒業時の満足度調査において,自分の進路結果に満足できなかったという理由で,高校三年間の全体の振り返りの自己評価を低くしてしまう生徒の存在,不登校の状況をかかえながら自分の努力によって卒業できた生徒の自己評価の位置付け方,各種の行事等に部活動の公式試合との関係や個人的な事情で参加できなかった生徒の位置付け方など,年度ごとに同じ基準で処理することの難しさが,すべてのデータやアンケート結果に含まれていると思っていました。
◆令和元年度からは,県立高校の全てがコミュニティスクールとなり,学校運営協議会が設置され,新しい動きになっています。学校評価に関わる動きも,新しくなっていくものと思っています。学校としての自己点検,自己評価の仕組が良い形で機能し,小さな矛盾点に目配りしながらも,他者からの評価を得ながら大きな意義として機能することを願っています。

 

学校評価関連図について

◆次の資料は,尾道市での研修会(令和元年7月29日)で使用した学校評価関連図の再掲です。学校経営計画との関りでの学校評価について関連要素や視点等について整理してみたものです。