授業の組み立て方の概要~新カリの実施に向けて

◆学校として,教科として,個人として授業の水準を高める方策の中でも大きな意義を持つのが,授業計画(シラバス)の作り方であり,その水準がどのレベルかということが大きい要素だと思います。授業水準の維持向上の前提として,授業時数も織り込んだ年間計画と学期単位・考査単位・単元単位などの授業計画(シラバス)のそれぞれがどれだけ機能しているかということの大事さだと思います。(シラバスの考え方・様式例については〔★カリ・マネの実際 > シラバス〕のところに掲載しています。)
◆新しい学習指導要領が示され,学校において新教育課程の策定が大きなテーマになっている段階ですが,今回の大きな質的な変化を伴う新教育課程に向けた準備は,かなりの手順が必要なことだと思っています。
(1)教員全体の新学習指導要領・新教育課程の新しい価値軸・内容についての基本理解の浸透
(2)学校としての「育てる生徒像」「育成すべき資質・能力」の再構築
    (参照:〔★会議・意思形成過程 >意思形成協議の工夫〕)
(3)新教育課程の骨格策定・・・授業編制・教科人員見込(年度推移)・科目選択者数見込等
(4)関連の教育活動計画・指導計画等との整合性・連関性の確保
(5)教科書・副教材等の選定
(6)年間授業計画・シラバス・評価方法の策定・整理
 こうした手順は,学校全体としての動きになりますので,個人の立場からみると,推進役でない限り,全体の動きに連動して個人的に準備を進めることになります。

◆当該教科に一人配置の学校でしたら,まさにその個人が新学習指導要領に基づいて,年間計画,単元計画,教科書選定等を担うことになります。日々充実した授業をまさに計画的に実践していくには,その前提として,年間授業計画,単元授業計画,当該授業準備がしっかりしたものになっている必要があり,評価の考え方も事前に整理しておくことが必要です。
◆次の資料は,新学習指導要領の準備として実際的に授業の組み立て方についての基本的な要素・項目を整理してみたものです。一枚ペーパーでは,説明しにくいほどの内容がありますので,この一枚ものをもとに順次説明していくこととします。

 

◆この一枚ものの全体骨格は,次の要素です。これらを整えておくことで,生徒に提示するシラバスの基本的な方針・内容が整うことになります。
〔1〕授業時数の確定

   ⇒ 臨時時間割・時間割変更なども見込みます
       参照:〔★カリ・マネの実際>授業時数確保と時間割〕
〔2〕年間授業計画の策定

   ⇒ 評価も含めて,「シート化」して全体像を調整することが必要です。
     「単元授業計画」との整合性を図ることが大切です。
〔3〕単元授業計画の策定

   ⇒ 評価も含めて,「シート化」して全体像を調整することが必要です。
     「年間授業計画」との整合性を図ることが大切です。
     1時間1時間の授業展開の実際の組み立て方の骨格になります。
〔4〕当該授業の計画(指導案)

   ⇒ 高校現場では研究授業等を実施する場面以外では,実際の指導案を

     作成して授業に臨むことは少ないと思っています。実際的には,

     しっかりした「単元授業計画」を策定しておいて,当該授業の

     指導案は授業の組み立て・展開・評価の骨格を明確にしておくことが

     大事になると思っています。


◆授業時数の見込みについては,年間の確定された行事計画に基づいて一年間の当該科目の「授業時数計画」を明確にしておく必要があります。従前,標準単位数を設定しておいて授業実施後に実数と比べると一定の誤差が生じるのを「やむなし」としてきていますが,その乖離は可能な限り少なくなる努力が求められていると思っています。