《講演①》『学校評価とカリキュラム・マネジメント』

 

令和元年度尾道市小中学校 学校経営サブリーダー研修会(Aグループ)〕

(1)研修会
  ◎ 日時:令和元年7月29日(月)13:20~17:00
  ◎ 会場:尾道市人権文化センター
  ◎ 参加者:小中学校教頭6名 (杉原妙子学校教育部長 安保友里管理主事兼指導主事)

 

(2)研修会の概要
◆尾道市の小中学校の教頭研修の一環で,グループによるテーマ設定に基づく年間7回の計画的な研修であり,Aグループのテーマを「開かれた学校(学校評価)」として,めざす姿(ゴール)を「子供の変容を実感し、それを喜び合える姿(学校)」と決められての研修会の第3回目に講師として参加させていただきました。
◆会の前半では,次の掲載資料にありますように,村上から,学校評価の前段として,教頭の立場からの学校経営の全体像の捉え方,組織マネジメントとカリキュラム・マネジメントが実際的にどのように関わり合っているかということについて,大所高所から捉えることの重要性を説明してから,学校評価をカリキュラム・マネジメントに活かす視点・実際的な方法について,学校現場の実情も出していただきながら解説しました。

◆会の後段では,準備していたワークシート(掲載資料)に基づいて,まず自校の学校評価の項目で機能している項目に着目していただいて,その理由・背景等をマネジメントの視点から文字化していただきました。次に,逆に自校の項目の中で機能しにくい状況になっているもの2つに着目していただいて,その理由・背景等をマネジメントの視点から文字化していただきました。
◆自校の学校評価とカリキュラム・マネジメントとの繋がり・関係性を文字化できた段階で,2グループに分かれて,さらにお互いに踏み込んでの背景分析と課題対応方策について協議していただきました。杉原部長様にも協議に直接参加していただき,村上も協議に直接参加させていただき,評価項目の在り方とカリキュラム・マネジメントの関連性,特に授業を通して児童生徒に付ける力・育てる力との関連性に着目する視点を深めました。

 

(3)協議視点
◆自校の評価項目のなかに,教育的な「求める期待像」を掲げているものがあり,実際の取組による因果関係等の検証が難しいものが含まれているのではないか。
⇒ カリキュラム・マネジメントに活かすには,検証可能で分かり易い指標が良い。
◆根拠になると設定しているデータ的なことが,教育活動の本体である授業を通して付ける力・育てる力とは少し離れたところで設定されていて,教員の日々の授業づくりの営みとの連関性が明確になっていないものがあるのではないか。
⇒ 学校行事・学年行事などの特別活動も含め,総学も含めた授業を軸にした資質・能力の育成を図るカリキュラム・マネジメントの位置付けの基本理解が根幹として重要になる。
◆授業における活動・振り返り等の評価蓄積データの処理が,膨大なものとなっていて,児童生徒の変容の捉え方が微視的なものになりすぎるとともに,教員の労力が膨大なものになっているものがあるのではないか。
⇒ 働き方改革の視点も含めて,効率的・効果的な評価を行うには,前年度から準備して新年度のスタート段階では,項目設定の意義や目的の明確化と検証データとの一体的理解を,教員全員が把握していることが重要になる。

 

(4)感想
◆参加された教頭先生方は,極めて真摯にテーマに向き合おうとされておられて,私の説明に対しても真剣に聞いてくださるとともに,協議では自校の学校評価の改善に向けて,具体的で有効性の高い方策を工夫しようと積極的に論議・協議をされておられ,研修時間があっという間に終わったように感じました。
◆こうした論議を機会に,学校のマネジメントについて,全てが繋がっていること,大きな視点と焦点化する視点とを同時に働かせること,根拠事実の確認が大事なことなどを意識していただいて,自校のマネジメントの水準をさらに高めていただければ・・と願っております。