学校の再開にあたって

◆新型コロナウイルス感染の広がりに直面して,少なくとも戦後の日本において,これほどの危機的状況は初めてのことであり,学校関係者も何をどのように考えたら良いのか,自分だけの対応力・判断力では不安なことだろうと思います。私自身は学校現場を離れて一年が経ち,現場状況については距離を感じ始めていたところです。
◆そうした中で,先日来,幾人かの教員とやり取りしていて,自分の学校では一般的に留意すべきことの説明や通知文の紹介はあったが,自分の授業で実際に何をどのように対処したらよいか不安がある・・とのコメントに複数接することがあり,今,自分が県立高校の校長だとしたら自校の教職員と生徒にどんな内容のペーパーを出すだろうかを考えてみることにしました。(広島県の感染者が10数名の段階です。)

 

◆ポイントは幾つかあると思っています。
▽多くの教員は,自校に関わる感染者がまだ出ていない状況では,感染予防を意識した授業をするように言われても,今まで自分が行ってきた授業をそのまましようとするだろうと考えられること。
▽多くの生徒は,感染が身近になっているとは捉えにくい段階では,教員から通り一遍の説明を聞いたくらいでは行動変容までにはなりにくいと考えられること。
▽状況は日々変化していて,数日前の判断軸を変えなければならないことが充分考えられること。
▽結論的には,今までとは教育環境の次元そのものが異質になり,生徒・教員の命が目に見えないウイルスによって脅かされている危機管理の局面と位置付けて,管理職(中でも校長)がしっかりした判断軸を持ち,適切な判断・指示に基づく毅然としたリーダーシップを発揮することが求められていると思っています。

 

◆教員の中には,「密集を避ける!」と言いながら,普通教室に40人いて授業するのは密集ではないのか・・!?との気持ちが手伝ってモヤモヤした気持ちになっている人もいるのではなかろうかと思っています。政府の専門家会議の見解では,密閉・密集・密接の3つが同時に重なるところで危険性が増大するという指摘ですので,「3つの密」の一つ一つの要素を下げることの大事さと同時に,重なりを絶対的に避ける判断・取組がさらに大事なことだと思っています。40人学級の密集性を少しでも緩和する配置を取り,密閉性は窓を開けての換気により排除して,密接性をできるだけ低減する授業形態を工夫することが求められていると思います。
◆今回作成してみたのは,あくまで村上のイメージ的な要素が強いので,まさにサンプル例としてダウンロードしていただいて,学校事情等に応じて適宜改善工夫してお使いいただければ幸いです。
◆村上は,2月の終わりに唐突な印象を与えた全国一斉臨時休校の要請に関する違和感について〔★こだわりメモ>失われたもの〕で自分の受けとめを述べていますが,全国の多くの地域において2月末の段階よりも状況はかなり悪化しています。その悪化した現時点で臨時休校判断を迷う要素の中に,全国一斉臨時休校を実施して突然の一ヶ月に及ぶ教育活動空白が生じていたことがもし考慮されているとしたら・・・その可能性を考えるだけで,残念さを越えて無念さを感じます。


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