《講演③》『学校教育目標の実現に向けて ~ 学校評価表の活用』

〔令和元年度第3回尾道市小中学校学校教務主任研修〕

【1】研修会
  ◎ 日時:令和2年1月30日(木)15:10~16:20
  ◎ 会場:尾道市生きがい活動推進センター
  ◎ 参加者:小中学校教務主任40名 (杉原妙子学校教育部長ほか事務局関係7名)

 

【2】研修会の概要
◆尾道市の小中学校の教務主任研修の一環で,学校評価の捉え方・活かし方についての研修会の講師として参加させていただきました。
◆会の前段では,次の掲載資料にありますように,村上から,学校評価と教務主任との関係性,学校評価表の公表状況,学校評価の活用の捉え方について説明しました。後段では,自校の学校評価について実践的に評価の水準・機能度について自己分析をしていただき,時間は充分取れませんでしたがグループ協議をしていただきました。

 

【3】テーマ性
◆自校の評価項目の水準・機能度の分析とグループ協議を通して浮かび上がったテーマには,次ような要素がありました。
○児童・生徒の数が一桁で児童・生徒のいない学年もある状況で,数値的な評価基準が立てにくい。特に,%で表そうとすると0%や100%の数字になることもあり,意味があると思えない時がある。
○「挨拶ができる児童を育てる」という目標にしているので,評価検証が難しい。
○自校は取組項目をたくさん掲げていて多面的に取組評価が行えるのだが,分析整理,指摘整理,改善策整理などをシート表としてきちんと整えるのは実務的にたいへんである。

 

【4】村上からの対応説明(その場で,きちんとした説明にしなかったことも含まれています)
◇学校の行う教育活動は,本来,密接に繋がっているので,計画を立てる段階での検証軸設定の仕方や,活動全体の繋がりの「見える化」を行うことで,より柱的な項目に焦点を当てることにより全体の水準を測ることができることから,計画段階で柱的な項目に絞り込んでの学校評価が成り立つように組み立てることも大事である。
◇自校における意義の大きい(説明力・説得力のある)項目に絞り込んで,評価手法も簡便なものにして,分析と改善策の実践に力点をおく方法も有効だと考えられる。

◇少人数の学校では,%で表すこと自体に意味が乏しい面があり,教育が機能することが第一目標であることを踏まえて数によらない指標を工夫することが大事になる。例えば,児童・生徒の知・徳・体の成長に関する個人カルテを工夫し,本人の成長変容を評価整理する方法も考えられる。(評価表の公表段階で児童・生徒個人が特定されることのないデータ処理の扱いが必要)
◇考査問題やテスト問題に,評価目安になる観測問題を5・6年くらいの長期スパンで設定し,昨年度・一昨年度等との比較検証を行う方法も考えられる。(評価表の公表段階で児童・生徒個人が特定されることのないデータ処理の扱いが必要)
◇児童・生徒自身に適度な学期目標・月目標・週目標を立てさせて,その達成度や努力度を記録データ的に集積する方法も考えられる。

 

【5】感想
◆参加された教務主任の先生方は,前向きな雰囲気が漂い,真摯にテーマに向き合おうとされておられて,私の説明に対しても真剣に聞いてくださるとともに,グループ協議では具体的な内容に踏み込んでの意見交換・協議をされておられ,時間があれば更に深まることが期待された感じでした。
◆こうした研修を機会に,学校評価は教務主任も大きな関わりの職責があり,自校の教育活動の充実が第一義で,評価表作成・公表のための評価作業にならずに,計画的で充実した教育計画の企画と実践が根幹であることを意識していただいて,今年度のまとめと次年度の教育計画の企画に活かしていただければ・・と願っております。

〔使用パワポ資料〕