◆　資質・能力の育成を学校教育の基本軸に位置付けることを明確にしたのは，広島県においては平成26年12月に策定された《広島版「学びの変革」アクション・プラン》において「コンピテンシーの育成を目指した主体的な学びの充実」を掲げて，目標と考え方，10年間を見通した方策などが示されたことでした。

◆　国においては，平成26年11月の中教審への新学習指導要領の諮問文に，「新しい時代に必要となる資質・能力の育成」が柱になることが明示され，平成28年12月の答申に繋がっていて，広島県が平成26年段階で「アクション・プラン」に結実する動きの先見性が，その後の広島県の教育実践の向上に繋がっていったと思っています。

◆　平成26年の中教審への諮問文では，主体的・協働的な学びとしての「アクティブ・ラーニング」がマスコミ的な脚光を浴びることとなり，授業観・授業方法の在り方に大きな影響を与えることになりましたが，広島県では，それとともに，学校ごとに「育成を目指す生徒像と資質・能力」を明確にすることに力点がおかれ，それを教育内容に具現化する方策として，カリ・マネ論議，コンピテンシー論議，ICEモデル論議，カリキュラム・マップ論議や取組が進められました。

◆　新学習指導要領の全面実施を目前に控える状況で，私見的に気になっていたのが，学校ごとに取組を進めた「育成を目指す生徒像と資質・能力」について，おそらく全ての学校で整備され一定水準の状況になっていると思っていますが，その内容・掲げる資質・能力について，特に，その「育成を目指す資質・能力」が授業・総探の学習活動において，「どの程度まで定着できているのか」という評価との関連付けが充分に機能しているとは言えない状況なのではなかろうかとの危惧です。

◆　このことを踏まえての今回の勉強会のテーマ立ての初回に，「育てる生徒像，育てる資質・能力」と評価の三観点との大きな整合性を捉えてみる，整理を試みてみることを設定しています。

◆　用語としての「資質・能力」につきましては，〔◇村上のページ＞★こだわりメモ＞【30】資質・能力〕に私見的な整理を試みていますので，参考にしていただけると幸いです。

《ワークシート〔１〕とその考え方》

  ◆　「育てる生徒像，育てる資質・能力」と〔評価の３観点〕との整合性を図る観点から，学校として定めている『育てる生徒像』の中のキーワードの抽出とそのキーワードが〔評価の3観点〕のどの観点と関わりが深いかを位置付ける。その際，〔学力の3要素〕の中で，〔評価の3観点〕と関わりの薄い《人間性等》についての用語が「育てる生徒像（キーワード）」に含まれている場合には，「キーワードと3観点」の枠の《人間性等》の枠を活用する。〔（１）の枠〕　⇒　《工夫点》　＊キーワードと〔評価の3観点〕との関りが明確にしにくいものについては，便宜的に「仮置き」する。　＊3観点の枠内に入るキーワードが無い時には，（２）『育てる資質・能力』の分類を踏まえて，便宜的に「仮作成」して「仮置き」するとともに，『育てる生徒像』の枠内にもそのキーワードを「仮置き」する。

◆　『育てる資質・能力』について〔評価の3観点〕のどの観点と関わりが深いかを位置付ける。その際，〔学力の3要素〕の中で，〔評価の3観点〕と関わりの薄い《人間性等》についての用語が「育てる資質・能力」に含まれている場合には，「育てる資質・能力と3観点」の枠の《人間性等》の枠を活用する。〔（２）の枠〕　⇒　《工夫点》　＊　〔評価の3観点〕との関りが明確にしにくいものについては，便宜的に「仮置き」する。　＊3観点の枠内に入る『育てる資質・能力』が無い時には，（１）『育てる生徒像』の分類を踏まえて，便宜的に「仮作成」して「仮置き」する。

◆　【分析・整理】の枠の活用

＊〔観点ごとの整合性〕：３観点ごとに「キーワード」と「資質・能力」の用語との整合性・バランスが取れているかどうかの吟味　

＊〔同じ枠内の用語の位置付け〕：「キーワード」「資質・能力」のそれぞれの枠内の用語どうしの位置関係が，同じ概念の表現の違い程度でしかないかどうか，他の用語と包摂関係にあるかどうかのなどの吟味

＊〔「仮置き」⇒「仮確定」〕：この後のワークとの関連を通して「仮確定」の度合いを高めたり，「変更」したりした場合などの記録

《グループ協議・学校協議の概要》

◆　個人参加・グループ参加によるグループ協議，学校参加による協議の概要を掲載しています。 

《協議の論点整理》

◆　グループ協議を通して，協議内容・論点となったことについて，村上が整理してみたものです。